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神田資料室

KANDAルネッサンス 99号 (2014.06.25) P.2〜3

特集・神田の明日

私たちが普段何気なく歩いている道。それは移動のための空間であり、モノと人とが混じり合う交流地点であり、文化の生まれる社交場です。道(通り、路地)をテーマに、さまざまなトピックを取り上げ、道と人、道とまちの良き関係を見直します。


特集1 神田警察通り整備計画

博報堂本社ビル跡地、東京電機大学跡地、そして神田警察署の移転。神田警察通りは今大きな変化を迎えている。昨年3月に制定された「神田警察通り賑わいガイドライン」に沿って、その概要を見てみよう。

 今回の整備構想で目標に掲げているのは「つなぐまち神田―まちの個性と魅力を価値へと繋げる―」である。この目標はさらに次の5つのキーワードに細分され、新たなブランドを創造するとともに、神田エリア全体の魅力づくりを目指す。

一、まち(南北にある魅力あるエリア、東西に伸びる通り全体の連携)
二、緑(東御苑や北の丸公園、街路樹、緑地が一体として続く整備)
三、歴史(地域の歴史の継承、新陳代謝で生まれる新たな歴史)
四、文化(伝統的な祭、下町気質、新たな文化の創出)
五、人(新旧住民、就業者、来街者の交流、自分たちでまちを運営する)

 また、これまで自動車優先だった通りを、歩行者と自転車による賑わいのある道路へと転換を行っていく。具体的には、現在4車線ある車道を3車線に変更し、両側に2mの自転車専用道を敷く。これに伴い、パーキングメーターを廃止し、荷捌きや駐車は周辺の駐車場の活用を促していく。
 歩道は、道幅が2.7m―3.5mであるところを全域で4mに拡張し、沿道との協調によって通行を妨げないバリアフリーな歩行空間を実現する。
 歩行者と自転車を充実させることにより、まちに目が行き易い空間を提供し交流の生まれやすいまちづくりを提供する。
 全長1.2Kmの通りを区では「歴史・学術ゾーン」、「文化・交流ゾーン」、「食・賑わいゾーン」の3つに分け、現状の魅力を引き出しつつ新たな価値創造の場としてそれぞれに開発テーマを設けた。
 まず一ツ橋から神田錦町周辺の「歴史・学術ゾーン」。このゾーンは世界一の古書店街である神田神保町と隣接し、共立女子大学、学士会館といった歴史的、学術的な施設から続いていることが特徴だ。
 この流れを生かした落ち着いた雰囲気と風格ある通りとして、歴史的な建物、碑の保全・復元を行い、建て替え時には雰囲気を尊重した色彩、素材を使用するよう配慮を求める。そしてゾーンの拠点となる博報堂の大規模開発に伴って生まれる緑地と既存樹木を合わせ、豊かな植栽空間を創造する。
 続く東京電機大学跡地を核とする「文化・交流ゾーン」では、御茶ノ水駅や靖国通りからの集客を促す広場的活用のできる環境を整える。
 東京電機大学跡地はその広い空間を生かし広場、歩行空間の他、開かれたスペースとして整備を行う予定だ。このスペースは道路、公開空地と合わせ、非常に大きな広場として使用が可能。ここでは通りの目玉となるようなイベントやギャラリースペース、防災の拠点となる施設の設置、また個人では導入が難しいような緑化、環境・エネルギー・情報などの設備・機能を盛り込んでいく。まさに、この通りを代表するようなゾーンだ。
 そして神田駅へと通じる「食・賑わいゾーン」では、"食"をはじめとした商業集積地であることを生かし、既存の商業との差別化を図りながら、来街者を引き付けるより多彩な選択肢を提供する。同時に丸の内仲通りの延伸によって、他のエリアからも集客を望む空間として隣接エリアと面的な賑わいを生みだしていく。 また植栽もこれまでと異なり、ポット植栽やハンギングバスケットによる歩道を狭めないものも検討されている。
 さてこうした"ハコモノ"づくりとともに、今回のガイドラインではエリアマネジメントの推進を計画の中に盛り込んでいる。(図1参照)
 賑わいを持続、継続させるのは美しいハコモノだけではなく、自主的にまちを良くしていこうとする働きかけが必要不可欠とし、千代田区ではその重要さを次のように述べている。『社会の成熟化が進むにつれ、地域間の競争は激しくなっており、個性的で魅力ある地域づくりが必要とされています。(中略)個人や一企業、もしくは敷地単位での取組みだけでは実現できず、地域全体での取組みが重要です。
 このため、神田警察通りの再生を契機に、行政とともに、住民・事業主・地権者等といった地域の人々が連携し、良好な環境や地域の価値の維持・向上に取り組んで行くことが必要です』。
 住民、活動者、事業者、また地域外で活動しているそれぞれの力を一つの軸の元で連携させることで、よりきめ細かでニーズに対応できる活動の促進を目指している。
 今回の整備が契機となり、道のみならず、まちへと波及する整備となることを期待している。


図1


図2,3(※PDFで表示されます)


インタビュー 目指すは日本一の道路(みち)/千代田区観光協会理事 田熊 清德氏

道と一番接しているのは誰だろう。それはやはり、その地に住む地域住民ではないだろうか。今回の整備を受け、地域住民であり、千代田区観光協会の理事を務める田熊さんにその思いを伺った。

「作るなら、日本一の道にしてほしいよね」
 そう語るのは、千代田区観光協会理事・田熊清德さん。内神田鎌倉町会の庶務を務め、今回の整備に関する協議委員として、これまで多くの意見を提案してきたという。
 例えば電力を電力会社に頼らず、自家発電で賄うエコな道。自転車道の整備に合わせた、自転車専門店の誘致。そして災害時にも対応できる、防災拠点や設備の整った安全な道。健康、環境、観光のあらゆる面から理想の道を模索したそうだ。
「私は観光協会の理事をしているから、どうしても観光的な視点で考えてしまう事が多なるけれど、やっぱり整備するならマスコミが注目して、全国から視察が来るようなものを作ってもらいたい。
 視察が来るということは、それだけで立派な観光資源となるでしょう?そのためには何かに特化して、『○○といえば神田警察通り』と思ってくれるような、いろんな人が来たくなるそんな特徴がないと難しいね。何より『情報の拠点または災害時の拠点としての機能も兼ね備えた、困ったときの神田警察通り』と思える場所を提供したい」
 そして気になる地域の方々の反応についてお伺いすると、これまでの意見交換会の様子から、かなり好意的に受け入れられていることを感じている。
「町の人たちの様子だけど、『作るなら早くやってくれ! 』っていう感じだね。今の道は歩道も狭くて車優先。特徴がないのが特徴といった、純粋な意味で通行のための道路。だから良い道ができることにみんな期待していて、『俺の目が黒いうちに完成させてほしい』って待ちきれないくらい。なんたって、せっかちな江戸っ子だからね。
 それに歩道が整備されると、小型犬を飼っている人は安心して散歩ができるから嬉しいと思うよ」

 また田熊さんは路地にある居酒屋やバーを巡る「神田うまいもんツアー」を主催している。若い女性たちに人気のこのツアーだが、今回の整備によって、路地が取り残されてしまうのではないか。そんな不安をぶつけると、田熊さんは「その対比がいいんじゃない」と明るく笑った。
「綺麗に整備された大きな道と、一歩入った路地にある、時代をそのまま残した雰囲気。それが〝路地のまち〞って感じになって、おもしろくなると思うけどね」と話してくれた。
 これから神田は魅力的になるよ。確信を持って断言する田熊さんの言葉に、これから道も、まちも、そして人も、どのように変わっていくのか楽しみだ。


路地もまた、大切な観光資源だ。


「公共空間を自由に生かすような、そんな試みもやってみたいね」。
田熊さんの情熱はまだまだ尽きることはない。

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