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KANDAルネッサンス 110号 (2019.11.25) P.1
【下倉楽器 お茶の水本店】
なかだえり

 世界一の店舗数を誇るお茶の水楽器店街。明大通りに黄色の看板が目印の下倉楽器は、この界隈で最も古い楽器店として代名詞的な存在だ。
 この一帯が楽器店街となった歴史には、学生街であることが根元に関係している。現在の湯島聖堂のところに江戸幕府が設立した“昌平坂学問所”があり、明治時代になると武家屋敷跡に多くの大学ができて一大学生街となった。そして学生といえばということで学問の面で古書店街が発達し、生活面で古道具店も増えていったのだという。
 1937(昭和12)年に創業した下倉楽器もまた、元は古道具店だった。戦後に進駐軍が払い下げたトランペットやサックスを引き取ったことがきっかけで、貴重で超高級品だった洋楽器が「良い商売になる」と、1946(昭和21)年に楽器店へと鞍替えしたのだ。当初はバイオリンなどの弦楽器を専門に扱った。
 こうして明大通りにできた小さくも専門性をもった下倉楽器、谷口楽器、石橋楽器の3軒で一通りのジャンルを扱えるようになり、やがて他店も増えて楽器店街へと成長した。1960年代には売り上げ日本一のまちに。下倉楽器も少しずつジャンルを増やし、段々と総合楽器店にまで成長。本店をはじめお茶の水に店舗が点在し、ギター、ベース、木管、金管、木琴、アンプやエフェクター、バイオリン、ドラムなど打楽器……グループ企業としてヴィンテージや中古品を扱う「セカンドハンズ」や、修理、音楽教室までを一手に引き受ける。
 お客さんは学生だけでなく全国、世界各国から訪れ、その層も初心者、趣味、プロのミュージシャンやタレントまで幅広い。秋葉原、東京ドーム、武道館から歩ける距離という立地も良く、音楽ライブやイベントの際に立ち寄る人も多い。過去には世界的なロックバンドのギタリスト、エアロスミスのジョー・ペリーや、レッドツェッペリンのジミー・ペイジも来店したことがあるとか。
 店長の下山さんは「売りっぱなしにせず、長く使えるようケアしたい。実物を見て選び、試奏室で音や感触を確かめ、店員に相談ができるという実店舗のある良さを感じてもらえたらうれしい」と話す。
 変化が著しい現代にあって、実は楽器自体は古くからそれほどに変化がないそう。なんだか時間の流れが緩やかに感じられる。


●下倉楽器 お茶の水本店
千代田区神田駿河台2-2
TEL.03-3293-7706
平日・土曜日 10:40~19:25
日曜日・祝日 10:00~18:30
http://www.shimokura-gakki.com/honten.html
大宮店、八王子店あり

なかだえり(イラストレーター)
1974年岩手県一関市生まれ。日本大学生産工学部建築学科卒業。法政大学大学院建築科修士課程修了。陣内研究室。現在、東京・千住に在住。アトリエにて水彩画教室開催中。著書に「東京さんぽるぽ」(集英社/2010年)、「奇跡の一本松―大津波をのりこえて」(汐文社/2011年)、「駅弁女子―日本全国旅して食べて」(淡交社/2013年)、「大人女子よくばり週末旅手帖」(エクスナレッジ/2015年)などがある。
HP:http://www.nakadaeri.com

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